日本の産業を支える外国人ホワイトカラー層が主に取得する在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下、「技人国」)について、出入国在留管理庁は審査基準を厳格化する方針を固めました。これは、留学生などが本来の目的と異なる職種でこの資格を取得し、制度の趣旨を逸脱した利用が多発している現状に対応するための措置です。
1. 審査基準厳格化の背景
「技人国」は、日本の公私の機関との契約に基づき、専門的な知識や技術を要する業務(ITエンジニア、経理、通訳・翻訳、デザイナーなど)に従事する外国人に付与される在留資格です。しかし、近年、以下のような制度の趣旨を逸脱するケースが急増し、行政管理上の課題となっていました。
・単純労働への従事: 本来、専門知識を必要としない単純労働と見なされる業務に就かせているにもかかわらず、「技人国」として申請・取得させている事例。
・不適切な転職: 資格取得後、専門性の低い業務を行う企業に安易に転職するケース。
・留学生の不正利用: 留学生が、日本の教育機関を卒業後に専門性が不十分なまま、比較的容易に取得できる「技人国」を利用して滞在を延長しようとする事例。
こうした不正利用が、日本の労働市場における秩序を乱す要因となっています。
2. 厳格化される主な審査ポイント
出入国在留管理庁は、専門性や職務内容の整合性を厳しく確認するため、特に以下の点に着目して審査を厳格化します。
(1) 業務内容の専門性:申請人が従事する予定の業務が、本当に大学などで学んだ専門知識や技術を必要とするものかを詳細に確認します。単純作業の割合が多い、または指示待ちの業務が主であると判断される場合、不許可となる可能性が高まります。
(2) 企業の状況と適正性:転職の場合、転職先の企業が営む事業の安定性・継続性に加え、その企業における外国人の就労実態や過去の申請状況についても、より詳細に調査されます。給与水準が、同程度の日本人や外国人と比較して著しく低くないか、適正な報酬が支払われているかを確認します。
(3) 申請人の能力と経歴:学歴(大学や専門学校での専攻)と、就労予定の業務との間に十分な関連性があるかを厳しく審査します。特に、専門学校卒の申請者については、専攻内容と職務内容の対応関係が重視されます。
3. 企業と申請者への影響
この審査基準の厳格化は、外国人労働者を雇用する企業と、在留資格の取得・更新を希望する外国人双方に大きな影響を与えます。
・企業側: 採用する外国人材の学歴・経歴と職務内容との整合性を、これまで以上に厳密に証明する書類を作成・提出する必要があります。形式的な書類だけでなく、具体的な業務内容を明示することが求められます。
・外国人側: 専門性と職務内容の一致が強く求められるため、安易な転職や、自身の専門分野から大きく外れた職種への応募は、在留資格の不許可につながるリスクが高まります。
4. さいごに
「技人国」の審査厳格化は、日本の高度人材受入れ政策の信頼性を高め、制度の適正な運用を確保するために不可欠な措置です。企業と外国人双方には、日本の在留資格制度に対する正確な理解と、法令遵守の意識がより一層求められます。具体的な審査基準や必要書類について、最新の情報を確認し、適正な手続きを行うことが重要です。
