土地・出入国、1月に方向性提示:外国人政策を「秩序ある」受入れへ転換

高市首相は、外国人政策をめぐる課題に対処するため、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」を立ち上げ、土地取引や出入国管理に関するルールのあり方を含め、抜本的な検討を指示しました。政府は、排外主義とは一線を画しつつも、「秩序ある」受入れへと方針を転換し、来年1月を目途に対応の方向性を取りまとめる方針です。

1. 政策転換の背景と推進体制

(1) 「秩序ある」受入れへの転換
高市政権は、従来の**「積極的」な外国人受入れから、一定のルールと管理のもとで進める「秩序ある」受入れ**へと方針を転換しました。これは、外国人の急増に対し国内の受入れ態勢が追いつかず、課題が顕在化してきたことや、与党連立の枠組みの変化が大きく影響しています。今後は、「量の拡大」よりも「質の管理」に重点が置かれる見通しです。

(2) 関係閣僚会議の発足
2025年11月4日、高市首相は第1回関係閣僚会議に出席し、小野田大臣を中心に関係省庁が連携して検討を進めるよう指示しました。これにより、土地の取得や在留資格の適正化など、広範なテーマについて政府全体で議論を加速させる体制が整いました。

2. 国土利用に関する規制強化の動き

外国人による不動産所有の動向が注目される中、政府は国土の適切な利用と安全保障上の懸念に対応するため、以下の施策を進める方向です。

・不動産登記への「国籍」届け出義務化: 外国人が日本の不動産を所有する際、登記の際に国籍を届け出ることが義務付けられる見通しです。これにより、デジタル庁が整備する不動産登記に関するデータベースを活用し、外国人の不動産所有状況を正確に把握することを目指します。

・規制ルールの検討: 安全保障上重要な地域(国境離島や自衛隊施設周辺など)での土地取引や利用について、既存の法律を適正化するだけでなく、新たなルールのあり方も含めて検討が進められます。

3. 出入国・在留管理の適正化

外国人政策の適正化の柱として、出入国管理(入管)制度についてもルールの厳格化が図られます。

・既得の制度の適正化: 現在の在留資格の運用について、制度の趣旨を逸脱した利用がないか、厳しくチェックが行われます。

・「公的義務の履行」の重視: 先に検討されているように、国民健康保険料の滞納など、公的義務を履行しない外国人に対しては、在留資格の更新を認めないなど、より厳格な対応がとられる見込みです。

4. さいごに

高市首相は、これらの検討課題について、2026年1月を目途に対応の基本方針を取りまとめるよう指示をしています。今後は、規制強化と、日本で暮らす外国人への共生政策とのバランスをどのように図るのかが大きな焦点となります。政府は、排外主義と明確に一線を画すため、共生政策にも力を入れつつ、社会と経済の多様なバランスを取る手腕が問われることになります。

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